診療内容

Content

排尿障害

前立腺肥大症

加齢に伴う前立腺の過形成(前立腺肥大)により尿道が圧迫されたり、前立腺部尿道の過剰な収縮により様々な排尿症状を呈します。具体的には尿勢の低下(おしっこが途切れる・勢いがない)や残尿感・頻尿(8回/日以上)・尿意切迫感・夜間頻尿があります。飲酒や市販の感冒薬内服後に尿閉(おしっこが出ない)になって初めて診断されるケースもあります。検査は尿検査・残尿測定・尿流量測定・超音波検査・採血等行います。薬物療法(αアドレナリン受容体遮断薬・5α還元酵素阻害薬・ホスホジエステラーゼ5阻害薬等)が基本ですが、難治例では手術療法が適応になることもあります。

過活動膀胱

尿意切迫感(急に我慢できないような尿意)を主症状とし、これに頻尿や切迫性尿失禁を伴う症候群です。日本では40歳以上の男女の約12%に過活動膀胱症状があるとされます。高齢になるほど有病率は上がりますが、若年層でもお悩みの方も多いです。外界からの刺激(寒さ、水の音を聞く等)をきっかけに尿意切迫感が生じやすいです。検査は尿検査・残尿測定・超音波検査・採血等を行います。頻尿の原因精査目的に排尿記録(1日のうちの排尿した時間と1回の排尿量を記録する)をお願いする場合もあります。治療は行動療法(生活習慣の改善)を行いながら内服療法(β3作動薬・抗コリン薬等)を行います。
難治例では手術療法(ボツリヌス毒素膀胱壁注入療法)を検討することもあります。

腹圧性尿失禁

女性に多い疾患です。腹圧が掛かる際(くしゃみ・せき・運動時等)に尿漏れが起こります。一般住民を対象とした調査では40歳以上の女性の43.9%が尿失禁を経験し、約半数が腹圧性尿失禁とされています。治療は生活指導(肥満や便秘の改善)を基本とし、骨盤底筋訓練や薬物療法を組み合わせていきます。難治例では手術療法を検討することもあります。

神経因性膀胱

排尿に関与する脳・脊髄・末梢神経の障害によって、膀胱の畜尿・尿排出機能に異常が生じた状態です。具体的には疾患(脳梗塞・脳出血・糖尿病合併症など)、けが(脊髄損傷など)による損傷が生じることで、尿を溜めたり出したりすることがうまくできなくなった状態です。神経に異常がなくても膀胱そのものの機能が落ちて起きることもあります。症状は、頻尿、尿意切迫感、切迫性尿失禁、尿勢が弱い、排尿に時間がかかる、尿が途中で止まる、尿閉(尿が出ない)など多岐にわたります。治療は、薬物療法により膀胱機能の調節を行ないますが、どうしても尿が出せない場合は自己導尿(清潔な操作でカテーテルを自身で尿道に挿入して尿を抜く操作)や尿道カテーテル留置が必要になることもあります。

慢性前立腺炎

骨盤周囲の疼痛、排尿時および射精時の疼痛や不快感、それに頻尿や尿意切迫感などを主症状とする症候群です。年齢的には20~40歳代の若い世代に多く見られます。原因のはっきりしない場合もあり、飲酒やストレス、長時間の座位などは症状を悪化させる因子とされます。治療は内服療法や生活指導などがあります。難治性、反復性のこともあり、症状が改善するまでに数ヶ月を要することも少なくありません。